エンジニアが人事部に入ってやったこと

人事部 エンジニア人事企画リーダー*1の小川(@conceal_rs)です。

前回はサービス開発に関するお話をしたのですが、今回はエンジニアが人事に入ってやったことについてお話したいと思います。

人事部との兼務のきっかけ

そもそも去年から中途エンジニア採用には関わってきていました。主に書類選考や面接官をしてきたのですが、去年の終わりごろからはさらに、新卒を含めたエンジニア採用全般に関わるようになっていました。また同じような時期から社内のエンジニア評価に関しても関わりが強くなってきていて、業務のほとんどが「人事系の仕事では?」と思う時があるほど比重は大きくなりました。

そんななか、当然のように人事の方と一緒に仕事をすることが増えたのですが、なぜか一歩引いた状態で会話されているなと感じることが増えてきました。言葉では説明しづらいのですが、「手伝っていただいて恐縮です」という雰囲気で接してこられているなと思うことが何度もあったのです。その一方で、どこの会社も同じだとは思いますが、事業部側からのエンジニアを採用してくれという圧力は高く、採用フローのスピード感が求められています。そんな状況で、なんだか人事がボトルネックになっているのでは?という場面がちらほら見受けられるようなりました。

ただ実際にいろいろ見たり話を聞いてみると、実際にはボトルネックになっているわけではなく、人事にエンジニアがいないため、どうしたらよいかわからない点が多いことで、スピードがでにくいのだとわかりました。かと言って事業部のエンジニアにパッと質問したりできるのかというと、若干質問しづらい環境になっている様子でした。さらに調べてみるとお互いがお見合いしているような状態で、このまま非効率な状態にしておくのは良くないなと強く思い始めました。以前からエンジニアの採用はエンジニアがやるべきであると思っていたので、このような状況であるなら、私が人事側でエンジニア採用や評価を担当しようと思い立ち、人事部を兼務させてくれと直談判をすることにしたのです。その結果、人事部にエンジニア人事企画リーダーという役職でエンジニアの評価や採用全般をみることを決断しました。

人事部に入ってみて

さて実際に人事部に入ったとはいえ、まだエンジニアであるというだけでまだ一歩引かれているのを感じたので、ひとまずはエンジニア採用に関わるところにはすべて首を突っ込むようにしてみました。例えば事業部で要求しているエンジニアはどのようなスキルセット、マインドセットが必要かといったヒアリングから、面接官のアサイン、書類選考まで幅広く関わるようにしました。特に新卒エンジニアの採用については、人事担当者が若いということもあり、エンジニア観点だけでなく年長者としてもサポートをし続けました。そのおかげか徐々に仲間であると認識してもらえてきたかな?と、いまでは思っています。

また初期の段階からエンジニア評価について私なりの考えがあったので、それを人事の方と共有することも心がけました。その分、エンジニアに関わる部分はすべて責任をもって担当することにしたので、この時期からほぼコードは書けなくなってしまいました。そんな状況でやっていけるのか?と自分でも不安ではあったんですが、毎日がわりと忙しくてあまり意識することはなかったのが現状です。

人事のお仕事

また人事で仕事をやってみて思ったのは、エンジニアで培ってきたことが結構使えるなということでした。例えばクックパッドのサービス開発では、価値仮説や価値検証といったことに重きをおいています。人事の仕事をしてみると、採用についても同じように適用できる状況であることがわかりました。例えばインターンでは学生のみなさんにどのようになってもらいたいのか、どのような気持ちを持って帰ってもらいたいのかを強く意識することを重要視していました。サービス開発でユーザの体験を考えるように、採用についてもそのユーザの体験をちゃんと設計していなければいけません。もちろん人事の方々がこの点を意識していなかったわけではないですが、カスタマージャーニーマップなどを使って言語化し定式化していくことで、より精度の高い施策や企画を実行できるなど、いいこともたくさんありました。

またちょっと傲慢かもしれませんが、エンジニアのことはエンジニアが一番理解できるという思いがあったので、エンジニアに関係する人事的な仕事には何にでも関わるようにしていました。例えば福利厚生や人事施策についても、エンジニア視点を入れることで幅や深みを若干でももたせられたのではとは思っています。

みんなの協力が必要と周知

そんなわけで、まずは一人でいろいろやり始めたのですが、やはり限界がありました。例えば面接であったり新卒採用イベントへの参加などは、一人でやるには体力的にも限界があります。また開発現場の雰囲気や求められるスキルなどは現場が一番理解していると思っているので、採用に関しては特に事業部のエンジニアの力を借りるようにしました。現場のエンジニアの力を借りるなんて当たり前では?と思うかもしれませんが、事業部としての業務やスケジュールもあるためそう安易に借りるのはよくありません。組織として採用に協力するのは当たり前だったとしても、ちゃんと事業部長と話をして理解を得なければ、お互い納得して採用業務を遂行できない状況になってしまいます。

そこでまずは各事業部に、エンジニアの採用はエンジニアがやるべきであるということを説明して、そうした考えを浸透させることにしました。そのおかげか、現場のエンジニアの協力を仰げるようになってきています。もちろんそれぞれのイベントなどの前にちゃんと話をしますが、みなさん協力をしていただけて人事としては非常に助かっています。

より良い開発環境にするために

というわけで、人事に入って8ヶ月たったエンジニアの今の仕事をつらつらと書いてみました。人事の仕事は大変じゃないですか?とたまに言われたりしますが、クックパッドの全エンジニアに影響を与える仕事をしているという点で、非常にやりがいのある楽しい仕事だと思って取り組んでいます。エンジニアが人事にいることで、現場に近い人事組織になっていけると信じて、今後も頑張っていきたいです。

クックパッドではこのような仕事を手伝ってくれる方や、サービス開発、基盤開発に携わりたいエンジニアを広く募集しています。キャリアについてなどのご相談もお受けできるので、お気軽に小川までお問い合わせください。

*1:技術部部長でもあります