こんにちは。メディアプロダクト開発部の我妻謙樹(@itiskj)です。 ソフトウェアエンジニアとして、広告配信システムの開発・運用を担当しています。好きな言語は Go と TypeScript です。
先日、GraphQL に関してアジア圏初の大型カンファレンス、GraphQL Asia がバンガロールで開催されました。元 Facebook で GraphQL の策定者の一人である Lee Byron を始めとし、Twitter, PayPal, Airbnb, Atlassian などのエンジニアが登壇し、GraphQL の導入事例やベストプラクティスの紹介が行なわれました。私も CFP が通過し発表してきたので、他の登壇者の内容と合わせて紹介いたします。
GraphQL Asia 2019 での発表
全発表資料は後ほど https://www.graphql-asia.org/ にて公開されるとのことですが、先にいくつかピックアップしてご紹介します。
BrikL - A GraphQL native
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まず、GraphQL Asia 2019 の主催者の一社である BrikL から、GraphQL を用いた自社製品の開発の変遷について紹介がありました。
個人的には、S3/DynamoDB/Elasticsearch などの外部サービスを Directives を用いて宣言している点がユニークで学びでした。
APIS.GURU - GraphQL Tools are easy or how to write one in less than 100 lines
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https://github.com/graphql/graphql-js のコミッタや https://github.com/APIs-guru/graphql-voyager のメンテナをしている OSS 開発者からの発表でした。
GraphQL tool を書くことは思ったより簡単であることを、実際に demo で GraphQL coverage tool を書きながら伝える内容でした。
GraphQL 界隈は、基本的なものに関しては出揃ってきた感がありますが、エコシステム全体的にはツールも production ready でないものが多かったり、作りかけのものが多かったりと、成熟期には達していません。GraphQL community に対して、ツールを書くことに敷居を下げ、ヒントや手法を与えた、という意味でこの発表はとても有意義なものでした。
Airbnb - GraphQL @ Airbnb
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Airbnb における GraphQL 活用事例の紹介でした。
Airbnb では、monolithic な Rails アプリ、いわゆる "Monorail" が 10 年以上稼働していました。2 年前から Airbnb SOA というアーキテクチャを導入し、徐々に service oriented な構成へと移行しているとのこと。その中でも、presentation layer に GraphQL Gateway を導入しているとのことでした。
この発表の最大の価値は、RPC フレームワークであるFacebook's branch of Apache Thrift と GraphQL を併用した場合のアンチパターン及びエッジケースについて紹介されていることでした。おそらくこの組み合わせを大規模なサービスで用いているのは Airbnb が初めてとのことで、彼らならではのチャレンジから生まれる知見が世に出たことは、今後の GraphQL community の資産となることでしょう。
発表資料
メディアプロダクト開発部のうち、動画領域を担当するプロダクト開発グループでは AWS AppSync を利用しており、GraphQL および AppSync の活用事例として、以下のような資料が公開されています。
一方、私が所属する広告領域を担当するマーケティングサービス開発グループでも、社内の広告管理システムにおいて GraphQL を導入しています。今回は、こちらのシステムに GraphQL を入れるにあたって行った技術選定の過程や、実際に GraphQL を利用して得た知見を共有する、という内容で発表を行いました。
GraphQL の導入事例は他にも Tokopedia, Intuit や Phillips, Adobe からもいくつかありましたが、どの会社も違った課題を抱えており、それぞれのユースケースの講演も参考になりました。
感想
国際カンファレンスに参加したのは初めてだったのですが、Speaker として参加したからこそ得られた知見や経験が非常に貴重でした。というのも、Speaker 同士の交流会や市内観光などもカンファレンススタッフによって予定されていたのですが、それらに参加する中で、リアリティに富んだ新鮮度の高い情報(GraphQL の欧米圏における浸透具合や、今必要とされているツールや技術)のみならず、決して SNS では得られることのできないような情報についても聞くことができたのは、非常に有意義な点でした。また、彼らと接点を持てたことも大きいです。
発表資料は後からオンラインに公開されるので世界中どこに住んでいても同じ情報にアクセスできますが、やはり直接会うからこその経験を得ることができるのも、カンファレンス(国内・国外問わず)に参加することの意義だということを再認識しました。
また、国外ではカンファレンス渡航費を会社が出してくれないという Speaker もそれなりにいました。今回、渡航費をサポートしてくれたり、出張中に業務をカバーしてくれたりした同僚や上司の方々には感謝しかありません。ありがとうございました。
まとめ
今までは、"Header Bidding 導入によるネットワーク広告改善の開発事情" や "cookpad storeTV の広告配信を支えるリアルタイムログ集計基盤" など、まさに広告領域を代表するような技術およびシステムについて紹介してきました。
しかし、広告領域ではネットワーク広告や配信サーバーのみならず、社内入稿システムも開発しています。そして、その入稿システムを利用する業務推進チームや制作チームなどが、会社の広告事業の売上を支えてくださっています。そのメンバーの業務効率を上げるために、社内入稿システムの開発及び改善・保守にも力を注いでいます。今回の記事をきっかけに、また違った観点からの技術的チャレンジもお伝えできれば嬉しいです。
広告領域は、技術的にチャレンジングな課題も多く、かつ事業の売上貢献に直結することが多いだけでなく、入稿から配信まで様々なシステムが複雑に絡み合う、非常にエキサイティングな領域です。ぜひ、興味を持っていただけたら、Twitter からご連絡ください。
また、メディアプロダクト開発部では、一緒に働いてくれるメンバーを募集しています。少しでも興味を持っていただけたら、以下をご覧ください。