インターンシップ「サービス開発演習」の舞台裏

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こんにちは、投稿開発部副部長の勝間(@ryo_katsuma)です。 普段はクックパッドのレシピ投稿周辺のサービス開発を行う部署のマネジメントやエンジニアリングを担当しています。

さて、クックパッドでは、8月10日から先日9月2日まで技術インターンシップを開催していました。 講義全体のまとめについては、先日公開されましたこちらの記事を参照ください。

今回は、私が担当した4日目の講義「サービス開発」について、どのような狙いを持って設計したか、また参加学生の皆さんがどのような反応だったかなど、舞台裏についてご紹介いたします。

昨年の振り返りと課題

技術インターンシップにおいて、サービス開発の講義は昨年度も私が担当しました。 昨年度は日程の都合上、半日で「クックパッドにおけるサービス開発の考え方についての講義を行った後に、その実践編としてあるお題に対して仮説を立て、企画をまとめる」というかなりコンパクトな内容にする必要がありました。

学生の皆さんにとっては「企画をまとめる」という、普段は行わないような発想をする体験を提供できたかと思いますが、「とりあえず仮説をまとめる」に留まってしまったため、周囲からのフィードバックを得るということはできませんでした。 言い換えると、サービス開発におけるPDCAのサイクルを回す (= LeanStartup的に言うとBMLループを回す)まで体験できなかったので、学生の皆さんにとってやや消化不良な形になってしまったのは反省すべき点でした。

全体設計

昨年度の反省を元に、今年度のトライとして

  • 半日では時間が短すぎるので、最初のインターンシップ全体の設計から関わり、1日の枠を確保する
  • BMLループを少なくとも1周回すことを実現する

をテーマに設定しました。 また、このタイミングで、デザイナの倉光(*1)にも参加してもらい、主に2人で全体設計と当日の運営を進めていくことにしました。

フォーカスすべきポイント

設計を進める上で、あれもこれも、、とやりたいことは多くありますが、インターンの時間は有限なので、フォーカスすべき点は何か?を明確化する必要があります。 そこで昨年度の課題を元に議論を進めていきました。

正解は誰にも分からない

参加学生に最も理解してもらたいことは、サービス開発において「正解は誰にも分からない」ということです。講義を行っている自分たちはもちろん、社長ですら「何がユーザーに受け入れられるものか」は究極的には分かりません。そのためにも早く小さな価値ある失敗して、そこから学びを得て正解を探る必要があります。

動くものでユーザーの声を聞く

価値ある失敗から学びを得るためには、ターゲットユーザーから仮説検証を行うプロダクトの利用ログを分析する必要がありますが、そのためには1日で実装から本番環境にデプロイまで行うのはさすがに現実的ではありません。そこで、ターゲットユーザーに動くものに触れてもらい、直接意見を聞くことで同等の効果が期待できます。そのためにも、動くもの、つまりプロトタイプを作ることが大事になります。

このような議論を経て、「プロトタイプを元にユーザーインタビューを行う」を今回の演習で最もフォーカスするポイントとして設定することにしました。

どんどん諦める

限られた時間の中で上記の実現すべきことにフォーカスするためにも多くのことを積極的に諦めることにしました。

課題設定をしない

そもそも「誰の何の課題を解決するか」は非常に大事なテーマです。今回もここの領域は是非挑戦してもらいたいところではありますが、今回はここに時間をかけることを諦めます。代わりに、解くべき課題と、それに対する仮説をこちらであらかじめ設定することにしました。

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今回は「子どもがもうすぐxx歳になるお母さんは、誕生日パーティを家族の思い出に残るものにしたいけど、何を作ったらいいか分からない」という課題を解決することを、実習における前提としました。

ちなみに、この課題は

  • 料理の領域に制限することで自分たちもフィードバックを返しやすい
  • 学生たち自身の経験則で進めることはできない
  • 対象ユーザーが社内で確保しやすい

などの理由からこの課題を設定しています。

1人のターゲットユーザー以外を考慮しない

課題が設定されていたとしても、その課題を持つできるだけ多くのユーザーを満足させることを考える時間もありません。

そこで、今回はターゲットユーザーは1人に絞り、ターゲットユーザー以外の人の考慮はしないようにしました。

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実際の社内のスタッフをターゲットユーザーに見立て、事実を元にしたペルソナシートを用意することで「誰の課題解決をするか」を把握できる状態を狙っています。

プロトタイプの実装はしない

確保した時間から逆算すると、プロトタイプの準備にかけられる時間は2時間程度のみになることが分かりました。そこで、「エンジニアだからこそ実装しないと」の発想をやめてもらうためにも、InVisionを利用することで「手書きでプロトタイプを作る」という制限を課すことにしました。

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これは今回用意した見本ですが、付箋とペンで描いた絵であっても「オムライスを検索してるんだな」は伝わるかと思います。

画面をいきなり作ることはしない

短期間でプロトタイプを作るとなると、「よくわからないからとりあえずそれっぽい絵を描く」ということになりがちですが、その際、結局「何をしたいかよくわからないもの」に仕上がりがちです。

そこで、今回は「実現したいユーザーストーリーをあらかじめ描き、それを元に絵を描く」という制限を設けました。

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この例は、フリマアプリを利用を使う人のユーザーストーリーをユーザーの言葉で並べたものですが、例えばこのようなプロトタイプを作ることができるでしょう。

演習

事前リハーサル

今回は、事前に学生アルバイトのエンジニア2名を前にして講義の内容を聞いてもらい、画面をつくるためのユーザーストーリーシートも実際に書いてみてもらいました。これによって、伝わりづらかった点、魅力を感じてもらうために必要な点などいくつかの改善点が見つかり、この時点でいくつか改善点も見つかったものの大筋は問題が無さそうなことが確認できたので、安心して当日を迎えることができました。

当日のスケジュール

当日はこのようなタイムスケジュールで進めていきました。

  • 09:30-10:30 講義+全体説明
  • 10:30-12:00 方針決め+プロトタイプ準備
  • 12:00-13:00 昼食
  • 13:00-14:00 インタビュー準備
  • 14:00-14:30 インタビュー実施
  • 14:30-15:00 インタビューを踏まえた改善案まとめ
  • 15:00-16:00 全体発表
  • 16:00-18:30 振り返り

見ていただくと分かる通り、講師側も正直辛さを感じるスケジュールです。 しかし、結果として参加学生の皆さん全グループ時間内にプロトタイプを形にし、インタビューまで完了できていました。学生の皆さんは本当に素晴らしかったと思います。

インタビューを経て

一方で、全グループともプロトタイプはインタビュイーに満足してもらえませんでした。 多くのグループはパーティ料理の献立を簡単に探せるプロトタイプを作っていましたが、

  • 子どもの年齢で食べられるものは決まるので、年齢毎に検索できないと使えない
  • 具体的に調べたいというより、ぼんやりとインスピレーションを得たい
  • プロトタイプは悪くはないけど、使うかと言われると使わない

のような意見をインタビューでもらっていました。

これはサービス開発を長年行っている者の観点だと、一発で最高のプロダクトを作ることができるわけないので、ある意味当然の反応とも見なせます。ただ、参加学生の皆さんにとっては、非常に新鮮な反応だったようで

  • 自分たちでは最高のものができたと思っていても実際は全然受け入れられない
  • たった1人のためのものを作るのすら、全く正解に辿りつけていない

のような感想を持っていたようです。

演習を終えて

議論の活発化

今回、参加学生を見ていて最も印象に残ったことは、インタビューの前後で議論の熱量が大きく増えたことです。 最初は、どのグループも悩みながら半信半疑でプロトタイプを作っている印象でした。一方で、インタビューを通じて自分たちの仮説が持つ問題点がかなり明らかになったことで、どのグループも「どう改善すべきか?」の議論は活発に行われていました。発表会の後は手持ち無沙汰になってしまうことを危惧していましたが、結果としては終了ぎりぎりの時間まで全てのグループがプロトタイプを改良し続けていたのは非常に印象的でした。

評論的なフィードバックが不要に

今回のようなサービス開発系の発表のフィードバックはともすれば評論家のような話をしがちです。しかし、前述の通り、サービス開発における正解はユーザーの反応です。今回も、学生の皆さんは自分たちの課題について自ら気づいてくれることが多く、主催側の自分たちが細かなことを言う必要はほとんどありませんでした。

ゴールを見失いがち

一方、「誕生日パーティを家族の思い出に残るものにしたいけど、何を作ったらいいか分からない」課題を解決するという、そもその研修の目的を多くのグループが忘れてしまっていました。「すばやくパーティ献立を検索する」にフォーカスしてしまい、「家族の思い出に残るパーティを実現する」というゴールを見失った状態でプロトタイプを作ることに必死になっていたようです。(例えば、ゴールを達成するためにはデリバリーを注文することも手段になるはずです)

学生の皆さんへのフィードバックはこの点について言及しましたが、これは自分たちもともすれば陥りやすい罠です。目的から外れ手段に凝り過ぎてしまうことは、自分たちも油断するとよくやってしまいます。個人的には、学生さんたちの様子を見ることで、自分たちのサービス開発のフローを省みるいい機会になりました。

柔軟な発想

そんな中、思い出に残るという観点で「子どもと一緒に作れる」を軸に考えてくれていたグループがありました。

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「パーティレシピを集めるための投稿ユーザーのモチベーションがうまく設計できていないことで、サービスを成立させることが難しそう」という理由で優秀賞には選定せずに「惜しかったで賞」という枠を選定しましたが、発想としては非常に素晴らしいものでした。このように柔軟な発想に出会えることもインターンを主催側の楽しみの1つです。

思ったよりいい感想を持ってもらえた?

今回は手を動かすことが大好きな学生エンジニアからエディタを取り上げることになったので、実施前は受け入れられるかどうか不安がありました。ただ、日報を見てみると

  • インタビューを通じて様々なことを気づくことができた
  • ユーザーが求めているだろうと自分が考えていたものが、インタビューしてみると全く価値がなかったのは衝撃的な体験
  • ここまでユーザーのことを考えたことがなかったので新鮮

など、前のめりなコメントも多く見受けられました。実際、自分たちで考えたものをリアルなユーザーに直接届け、感想を聞くという体験はなかなか得られないものではないかと思います。 また、後半に進んだ学生の中には、サービス開発を行う部署を希望してくれた人も何人もいました。

「サービス開発は難しい」ですが、同時に「だからこそおもしろい」と思ってもらえる機会を少しでも提供できたのかな、と期待しています。

まとめ

2016年度技術インターンシップにおけるサービス開発研修を舞台裏についてふりかえりを行いました。今年は、昨年度の反省を活かして、価値ある失敗を体験してもらうことに徹底的にフォーカスした設計を行いました。 準備はかなり大変でしたが、結果として昨年度の課題の大半は解決され、学生の皆さんにサービス開発の難しさと楽しさの2つの体験を提供できたかと思います。

最後になりますが、クックパッドではデザイナー・エンジニアを募集しています。このようなサービス開発にご興味あるかたは、募集一覧をご覧いただくか、または@ryo_katsumaまでお気軽にお声がけください!

(*1) 倉光はFablicさんと合同でのデザイナ向けイベントの運営や新卒研修でのサービス開発研修の講師を務めるなど、この領域において経験も実績も十分でした。
(*2) 念のため補足しておくと、ここではもちろんコードを書くことを否定しているわけではなく、早く動くものを用意しよう、ということのみを述べています。Webアプリケーションやモバイルアプリも早く形にできる環境であれば、InVisionなどのツールを使うよりも実際に実装したほうが望ましいです。

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