部署の課題を継続的に改善する取り組み

はじめに

こんにちは、投稿推進部の勝間です。

約1年前、「サービス開発エンジニアからマネージャになった話」というエントリを投稿しましたが、現在も試行錯誤しながらマネジメントに取り組みつづけています。

組織は生きもの」とも言いますが、私の部署もまた生きもののように、日々いろいろな課題が生まれ、それに取り組んでいます。今回は、そのような部署で私が感じた課題と、それに対する具体的な取り組みについて、いくつか事例とあわせてご紹介します。

1. 業務外の問題に目を向ける

私の部署では、毎日約5分間の朝会を開いています。 1人30秒くらいで、「今日取り掛かること」「参加するミーティング」「その他勤怠など含めて共有すべきこと」を共有します。

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朝会を行うことでそれぞれの業務的な進捗を確認でき、また、内容について疑問に思ったこともすぐに確認、理解できる状態を作ることができていました。

一方で、業務と直接関係ないところでは、メンバーの中には気になることも出てきていました。

  • どうも浮かない顔をしているメンバーがいるが理由がわからない
  • 会話のトーンが低めなメンバーがいるが理由が分からない
  • ... etc

つまり、業務以外の点で、自分のメンバーへの理解が進んでいなかったことに気づいたわけです。

よもやま会

このような背景を踏まえ、私の部署では月に1度「よもやま会」という1-1の定期面談を開催しています。 名前の「よもやま会」は、その名の通り「四方山(よもやま)話をする」ところから採っています。

面談は、次のような方針で行っています。

  • 1人あたり30分
  • 正社員、パートスタッフ、学生アルバイトふくめ全員を対象

面談では、毎回ざっくばらんに「最近、どうですか?」のような軽い話から始めるようにして、仕事以外にも、体調、対人関係、こちらからの相談などを行っています。 この夏からはエンジニアリーダーの制度が再整備され、@hokacchaがエンジニアリーダーとして部署のエンジニアに対して、エンジニアリング観点での面談を行ってくれているので、私は特にエンジニアリング以外の面について面談で話をするようにしています。

このあたりの具体的な面談の進め方は@lchinも以前エントリーにまとめてくれています。

効果

面談では、あまりに生々しい話(!)がよく出てくるので、具体的に書くことは憚れますが、たとえば次のような取り組みにつながりました。結構細かい話が多いです。

  • 業務の進め方で他のメンバーに直接言いづらいことを抱えてるメンバーの対話の仲介
  • 自部署以外のコミュニケーションがなかなか広がらないメンバーが多かったのでチームランチの運営方針の工夫
  • モチベーションが上がってこないメンバーに対する業務内容の見直し

これらは、数字で効果が測れるものではありません。 一方で「まさかこんな悩みを抱えていたとは...」と気づける機会を増やすことができていることは、現状は自分にとって大きな効果になっています。 メンバーには、できるだけストレスを貯めない状態で仕事に取り組んでもらいたいと思っているので、よもやま会を通して仕事のアウトプットを高めることに繋がることを願っています。

2. 改善を支える

サービス開発では誰も正解が分からないものなので、じっくり時間をかけたものづくりが求められます。

私の部署でも、今期の初めに新規サービス開発とそれに伴うプロトタイプを多く作っていましたが、 プロジェクトに集中して開発に取り掛かるものの、なかなか思うような成果が上がらない日々が続いていました。あわせて、サービス開発に集中しすぎるがあまり、既存のプロダクトの磨きこみも進まず、結果として全く何も形にならないという課題が生まれてきました。

新規サービス開発はなかなか成果も出づらく、進みづらいことは理解していたものの、それに伴い既存のプロダクトまで影響が出て、全体としてモヤモヤ思う状況になっていました。 つまり、日々のサービス開発もしつつも、「既存のプロダクトの磨きこみをメンバーによって自発的に進められるサイクルを作りだしたい」と思うようになりました。

KAIZENの日

そこで、毎週金曜日は「KAIZEN(改善)の日」に設定し、全員強制的に最大丸1日かけて普段の開発以外に改善に時間を使うことをルールにしました。

ここでの改善は、プロダクトの改善以外にも、自分自身の改善もOKにしています。つまり、

  • Issue化されているような、既存のプロダクトの磨きこみ

のようなものはもちろん、

  • 定期的なプロジェクト振り返りとしてのデータ分析と社内ブログへのまとめ記事のPost
  • 話題になっているツール、ソフトウェアの使用レポート

のようなものもOKにしてます。 たとえばサービス開発ディレクターの場合は「SQLの勉強」などもOKにしていて、とにかく昨日より少しでも良い状態になることを目指しています。

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また、改善を金曜に設定しているのは理由があります。 クックパッドでは金曜はもともと休日前ということで、大きめの変更を伴うデプロイは原則禁止で、デプロイ可能な時間も普段より3時間ほど短く設定されています。 つまり、デプロイがどんどん行われるような日では無い、自分たち自身も金曜日はリリースに間に合わせるための急ぎの開発も基本的には無い、ということから普段の通常業務以外のことを行う日に割り当てるに最適な日であるということが背景にあります。

効果

「KAIZENの日」はルール化して半年ほど経過していますが、結果としては停滞していたプロダクトの磨きこみは目に見えて進むようになってきました。これは、たまっていたIssueが消化されていくという一方で、逆にIssueに追加される速度も増えたという想定外の効果も生まれました(!)

また、普段自分たちでプロダクトを触る中で不具合や体験向上のネタを見つけた場合は「これはKAIZENネタに回しちゃおう」のような会話もでてくるようになりました。普段からプロダクトに対する課題を見つけやすくなり、通常業務の開発と日々の改善をそれぞれ並行して進められるようになってきたように感じています。

週に1日、20%の時間を改善に割り当ててしまうのは、リソース配分の観点で見ると本音では多い気もしていますが、メンバーの動きを見ているとこれくらいリソースを割いた方が動きやすそうに見えるので、この進め方はもうしばらく続けて様子を見ようと考えています。

3. 中長期的に物事を捉える視点を持つ

マネージャ業務の中で「年間計画を立てる」ということがあります。

年間計画は、1人でまとめあげることもできます。実際、今年の年間計画も自分1人で大筋をまとめていたのですが、来年度の計画を意識し始めた頃に、今年と同様に1人で完全にまとめるのでいいのか漠然と課題感を感じました。

自分が全く関わっていない上から降りてきた計画と、自分たちがまとめることに関わった計画を比較すると、実際に計画を遂行する際は、前者よりも後者の方が自分事として取り組めるはずです。 計画立案からメンバーを巻き込むことは、マネジメントの原理原則ともされていますが、この巻き込みについて自分はもっと工夫する余地があることを感じました。

視点を変えて考えると、普段の業務では今動いているプロジェクト、または、実際に自分が手を動かしている業務に意識は集中してしまいます。そこでは「5年後、食の領域ではどのような課題がありそうか」「5年後はどのような課題に取り組むことを想定すべきか」「そのために自分たちは来年はどうするべきか」のような目線を上げて物事を考えることは、メンバーはもちろん、マネジメントをしている自分自身も強く意識していないと忘れがちです。

未来を考える会

そこで、目線を上げる機会を強制的に作る「未来を考える会」という会を最近始めることにしました。

未来を考える会は、1ヶ月に2時間、メンバー全員で以下のような内容を議論します。

  • 5年後、日本の食はどうなっているか、いろんな方面から調査して1人づつ5分ほどのプレゼン
  • プレゼンを元に、将来はどのような課題がありそうか、自分たちはどのような課題に取り組むべきか?をディスカッション

効果

未来を考える会は、まだ始めたばかりのもので、つい先週に第二回目を開催したばかりです。どういう成果につながるか、または全く成果につながらないかはもうしばらく様子を見ないと見えてこなそうです。一方で、メンバーのプレゼンテーションを見ていると「食料自給率の変化」「労働人口の変化」など、割と似通った話が出てきやすい傾向があるのは興味深く感じています。

このように、自分で手を動かして考えた結果、(課題が適切なものかどうかはさておき)共通の課題意識をお互いに持てそうなことは、全体として良い流れができつつあるのかなと考えています。

まとめ

今回は私の部署を題材に、マネジメントの観点で部署内で感じた課題への取り組みを紹介しました。

これらの取り組みは、「よもやま会」「KAIZENの日」のように効果を実感しているものもあれば、「未来を考える会」などまだこれからどうなるか分からないものもあります。 今は効果を実感できているものも、組織変更や人事異動などで環境が変化すると、そこからまた新たな課題が発生することもあるでしょう。今後も現状にとらわれず、違和感を持ったものについては解決すべき課題を定義し、解決に努めようと考えています。

皆さんも身近なところに目を向けると、多かれ少なかれいろんな課題が転がっていると思います。 本エントリがその課題解決を導くヒントになると幸いです。